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〘1560㌻〙

第1章

1 預言者よげんしやハバククが示しめしを蒙かうむりし預言よげんの重負󠄅おもに 2 ヱホバよ我われ呼よばはるに汝なんぢの我われに聽きゝたまはざること何時いつまでぞや 我われなんぢにむかひて强暴きやうぼうを訴うつたふれども汝なんぢは助たすけたまはざるなり 3 汝なんぢなにとて我われに害󠄅がい惡あくを見みせたまふや 何なにとて艱難かんなんを瞻望󠄇ながめ居ゐたまふや 奪掠だつりやくおよび强暴きやうぼうわが前󠄃まへに行おこなはる且かつ爭論あらそひあり鬪諍いさかひおこる 4 是これによりて律法おきて弛ゆるみ公󠄃義こうぎ正たゞしく行おこなはれず惡あしき者もの義たゞしき者ものを圍󠄃かこむが故ゆゑに公󠄃義こうぎ曲まがりて行おこなはる

5 汝なんぢら國々くに〴〵の民たみの中うちを望󠄇のぞみ觀みおどろけ駭おどろけ 汝なんぢらの日ひに我われ一ひとつの事ことを爲なさん 之これを吿つぐる者ものあるとも汝なんぢら信しんぜざらん 6 視みよ我われカルデヤ人びとを興おこさんとす 是これすなはち猛たけくまた荒あらき國人くにびとにして地ちを縱橫たてよこに行ゆきめぐり 己おのれの有󠄃ものならざる住󠄃處すまひどころを奪うばふ者ものなり 7 是これは懼おそるべく又󠄂また驚おどろくべし 其その是非ぜひ威󠄂光ゐくわうは己おのれより出いづ 8 その馬むまは豹󠄂へうよりも迅󠄄はやく夜求食󠄃よあさりする豺狼おほかみよりも疾とし 其その騎兵きへいは跑かけまはる 即すなはちその騎兵きへいは遠󠄄とほき處ところより來きたる 其その飛とぶことは物ものを食󠄃くらはんと急󠄃いそぐ鷲わしのごとし 9 是これは全󠄃まつたく强暴きやうぼうのために來きたり 其その面かほを前󠄃まへにむけて頻しきりに進󠄃すゝむその俘虜とりこを寄よせ集あつむることは砂すなのごとし 10 是これは王等わうたちを侮あなどり君等きみたちを笑わらひ諸もろ〳〵の城󠄃々しろ〴〵を笑わらひ土つちを積つみあげてこれを取とらん 11 斯かくて風かぜのごとくに行ゆきめぐり進󠄃すゝみわたりて罪つみを獲えん 是これは己おのれの力ちからを神かみとす

12 ヱホバわが神かみわが聖󠄃者せいしやよ 汝なんぢは永遠󠄄えいゑんより在いますに非あらずや 我われらは死しなじ ヱホバよ汝なんぢは是これを審判󠄄さばきのために設まうけたまへり 磐いはよ汝なんぢは是これを懲戒こらしめのために立たてたまへり 13 汝なんぢは目め淸きよくして肯あへて惡あくを觀みたまはざる者もの 肯あへて不義ふぎを視みたまはざる者ものなるに何なにゆゑ邪󠄅曲よこしまの者ものを觀みすて置おきたまふや 惡あしき者ものを己おのれにまさりて義たゞしき者ものを呑噬のみくらふに何なにゆゑ汝なんぢ默もくし居ゐたまふや
 1560㌻ 
14 汝なんぢは人ひとをして海うみの魚うをのごとくならしめ君きみあらぬ昆蟲はふむしのごとくならしめたまふ 15 彼かれ鈎はりをもて之これを盡こと〴〵く釣つりあげ網󠄄あみをもて之これを寄よせ集あつめ引ひき網󠄄あみをもて之これを捕とらふるなり 是これに因よりて彼かれ歡よろこび樂たのしむ 16 是故このゆえに彼かれその網󠄄あみに犧牲いけにへを獻さゝげその引ひき網󠄄あみに香かうを焚たく 其そは之これがためにその分󠄃ぶん肥こえまさりその食󠄃しよく饒ゆたかになりたればなり 17 然されど彼かれはその網󠄄あみを傾かたむけつつなほたえず國々くに〴〵の人ひとを惜をしみなく殺ころすことをするならんか

第2章

1 我われわが觀望󠄇所󠄃ものみどころに立たち戍樓やぐらに身みを置おかん 而しかして我われ候うかがひ望󠄇のぞみて其そのわれに何なにと宣のたまふかを見み わが訴言うつたへに我われみづから何なにと答こたふべきかを見みん〘1194㌻〙 2 ヱホバわれに答こたへて言いひたまはく 此この默示もくしを書かきしるして之これを板いたの上うへに明白あきらかに鐫えりつけ奔はしりながらも之これを讀よむむべからしめよ 3 この默示もくしはなほ定さだまれる時ときを俟まちてその終󠄃をはりを急󠄃いそぐなり 僞いつはりならず 若もし遲󠄃おそくあらば待まつべし 必かならず臨のぞむべし 濡滯とどこほりはせじ

4 視みよ彼かれの心こゝろは高たかぶりその中うちにありて直なほからず 然されど義ただしき者ものはその信仰しんかうによりて活いくべし 5 かの酒さけに耽ふける者ものは邪󠄅曲よこしまなる者ものなり 驕傲者ほこるものにして安やすんぜず彼かれはその情󠄃慾じやうよくを陰府よみのごとくに濶ひろくす また彼かれは死しのごとし 又󠄂また足たることを知しらず 萬國ばんこくを集つどへて己おのれに歸きせしめ萬民ばんみんを聚あつめて己おのれに就つかしむ 6 其それ等らの民たみみな諺語ことわざをもて彼かれを評󠄃ひやうし嘲󠄂弄てうろうの詩歌しいかをもて彼かれを諷ふうせざらんや 即すなはち言いはん己おのれに屬ぞくせざる物ものを積累つみかさぬる者ものは禍わざはひなるかな 斯かくて何いづれの時ときにまでおよばんや 嗟あゝかの質物しちもつの重荷おもにを身みに負󠄅おふ者ものよ 7 汝なんぢを噬かむ者ものにはかに興おこらざらんや 汝なんぢを惱なやます者もの醒出おきいでざらんや 汝なんぢは之これに掠かすめらるべし 8 汝なんぢ衆多おほくの國民こくみんを掠かすめしに因よりてその諸もろ〳〵の民たみの遺󠄃のこれる者ものなんぢを掠かすめん 是これ人ひとの血ちを流ながししに因よる また强暴きやうぼうを地上ちじやうに行おこなひて邑まちとその內うちに住󠄃すめる一切すべての者ものとに及およぼせしに因よるなり

9 災禍わざはひの手てを免まぬかれんが爲ために高たかき處ところに巢すを構󠄃かまへんとして己おのれの家いへに不義ふぎの利りを取とる者ものは禍わざはひなるかな 10 汝なんぢは事ことを圖󠄃はかりて己おのれの家いへに恥辱はぢを來きたらせ衆多おほくの民たみを滅ほろぼして自みづから罪つみを取とれり
 1561㌻ 
11 石垣いしがきの石いし叫さけび建󠄄物たてものの梁はりこれに應こたへん

12 血ちをもて邑まちを建󠄄たて惡あくをもて城󠄃しろを築きづく者ものは禍わざはひなるかな 13 諸もろ〳〵の民たみは火ひのために勞らうし諸もろ〳〵の國人くにびとは虛空󠄃事むなしきことのために疲つかる 是これは萬軍ばんぐんのヱホバより出いづる者ものならずや 14 ヱホバの榮光さかえを認󠄃みとむるの知識ちしき地上ちじやうに充みちて宛然あたかも海うみを水みづの掩おほふが如ごとくならん

15 人ひとに酒さけを飮のませ己おのれの忿怒いかりを酌和くみまじへて之これを醉ゑはせ而しかして之これが陰所󠄃かくしどころを見みんとする者ものは禍わざはひなるかな 16 汝なんぢは榮譽ほまれに飽󠄄あかずして羞辱はぢに飽󠄄あけり 汝なんぢもまた飮のみて汝なんぢの不割󠄅禮ふかつれいを露あらはせ ヱホバの右みぎの手ての杯さかづき汝なんぢに巡󠄃めぐり來きたるべし 汝なんぢは汚きたなき物ものを吐はきて榮耀󠄃ほまれを掩おほはん 17 汝なんぢがレバノンに爲なしたる强暴きやうぼうと獸けものを懼おそれしめしその殲滅せんめつとは汝なんぢの上うへに報むくいきたるべし 是これ人ひとの血ちを流ながししに因よりまた强暴きやうぼうを地上ちじやうに行おこなひて邑まちとその內うちに住󠄃すめる一切すべての者ものとに及およぼししに因よるなり

18 雕像󠄃てうざうはその作さく者ものこれを刻󠄂きざみたりとて何なにの益えきあらんや 又󠄂また鑄像󠄃しゆざうおよび僞師ぎしは語ものいはぬ偶像󠄃ぐうざうなればその像󠄃ざうの作さく者しやこれを作つくりて賴たのむとも何なにの益えきあらんや 19 木きにむかひて興おきませと言いひ 語ものいはぬ石いしにむかひて起󠄃たちたまへと言いふ者ものは禍わざはひなるかな 是これあに敎誨をしへを爲なさんや 視みよ是これは金銀きんぎんに着きせたる者ものにてその中うちには全󠄃まつたく氣息いきなし〘1195㌻〙 20 然しかりといへどもヱホバはその聖󠄃殿きよきみやに在ましますぞかし 全󠄃地ぜんちその御前󠄃みまへに默もくすべし

第3章

1 シギヨノテに合あはせて歌うたへる預言者よげんしやハバククの祈禱いのり 2 ヱホバよ我われなんぢの宣のたまふ所󠄃ところを聞きゝて懼おそる ヱホバよこの諸もろ〳〵の年としの中間あひだに汝なんぢの運󠄃動わざを活發いきはたらかせたまへ 此この諸もろ〳〵の年としの間あひだに之これを顯現あらはしたまへ 怒いかる時ときにも憐憫あはれみを忘󠄃わすれ給たまはざれ 3 神かみテマンより來きたり聖󠄃者きよきものパラン山やまより臨のぞみたまふ  セラ 其その榮光えいくわう諸天しよてんを蔽おほひ其その讃美さんび世界せかいに徧あまねし 4 その朗耀󠄃かがやきは日ひのごとく光線くわうせんその手てより出いづ 彼處かしこはその權能ちからの隱かくるる所󠄃ところなり 5 疫病えきびやうその前󠄃まへに先さきだち行ゆき熱病ねつびやうその足下あしもとより出いづ
 1562㌻ 
6 彼かれ立たちて地ちを震ふるはせ觀みまはして萬國ばんこくを戰慄をののかしめたまふ 永久とこしへの山やまは崩󠄃くづれ常磐ときはの岡をかは陷おちいる 彼かれの行おこなひたまふ道󠄃みちは永久とこしへなり 7 我われ觀みるにクシヤンの天てん幕まくは艱難なやみに罹かゝりミデアンの地ちの幃󠄃幕ゐばくは震ふるふ 8 ヱホバよ汝なんぢは馬むまを驅かり汝なんぢの拯救すくひの車くるまに乘のりたまふ 是これ河かはにむかひて怒いかりたまふなるか 河かはにむかひて汝なんぢの忿怒いかりを發はつしたまふなるか 海うみにむかひて汝なんぢの憤恨いきどほりを洩もらし給たまふなるか 9 汝なんぢの弓ゆみは全󠄃まつたく嚢ふくろを出いで杖つゑは言ことばをもて言いひかためらる  セラ 汝なんぢは地ちを裂さきて河かはとなし給たまふ 10 山々やま〳〵汝なんぢを見みて震ふるひ洪水こうずゐ溢󠄃あふれわたり淵ふち聲こゑを出いだしてその手てを高たかく擧あぐ 11 汝なんぢの奔はしる矢やの光ひかりのため汝なんぢの鎗やりの電光いなびかりのごとき閃燦きらめきのために日月󠄃じつげつその住󠄃處すまひどころに立たちとゞまる 12 汝なんぢは憤いきどほりて地ちを行ゆきめぐり 怒いかりて國民こくみんを踏ふみつけ給たまふ 13 汝なんぢは汝なんぢの民たみを救すくはんとて出いできたり 汝なんぢの膏あぶら沃そゝげる者ものを救すくはんとて臨のぞみたまふ 汝なんぢは惡あしき者ものの家いへの頭かしらを碎くだきその石礎いしずゑを露あらはして頸うなじにおよぼし給たまへり  セラ 14 汝なんぢは彼かれの鎗やりをもてその將帥しやうすゐの首かしらを刺さしとほし給たまふ 彼かれらは我われを散ちらさんとて大風おほかぜのごとくに進󠄃すゝみきたる 彼かれらは貧󠄃まづしき者ものを密ひそかに呑のみほろぼす事ことをもてその樂たのしみとす 15 汝なんぢは汝なんぢの馬むまをもて海うみを乘のりとほり大水おほみづの逆󠄃さか卷まくところを渉わたりたまふ 16 我われ聞きゝて膓はらわたを斷たつ 我わが唇くちびるその聲こゑによりて震ふるふ 腐朽くされわが骨ほねに入いり我わが下體かたいわななく 其そは我われ患難なやみの日ひの來きたるを待まてばなり 其時そのときには即すなはち此この民たみに攻寄せめよする者ものありて之これに押逼󠄃おしせまらん 17 その時ときには無花果いちじくの樹きは花はな咲󠄃さかず葡萄ぶだうの樹きには果みならず 橄欖かんらんの樹きの產さんは空󠄃むなしくなり 田圃たはたは食󠄃糧くひものを出いださず圈をりには羊ひつじ絕たえ小屋こやには牛うしなかるべし 18 然さりながら我われはヱホバによりて樂たのしみ わが拯救すくひの神かみによりて喜よろこばん 19 主しゆヱホバは我わが力ちからにして我わが足あしを鹿しかの如ごとくならしめ 我われをして我わが高たかき處ところを步あゆましめ給たまふ 伶長うたのかみこれを我わが琴ことにあはすべし〘1196㌻〙
 1563㌻